パソコンゲームの解説、感想集[廃虚碑文]
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公開日:2005-09-14 | ページ表示数:5940回

さよならを教えてcomment te dire adieu

製作:CRAFTWORK
発売日:2001-03-02
原画・企画・原作・構成・脚本・監修:長岡建蔵 構成・脚本:石埜三千穂
シナリオ:7 グラフィック:7 システム:6 総合:7
長所:題材  短所:起伏が少ない
種類:W
狂気。教育実習中の主人公。永遠であるかのような焦燥感、駄目な自分への嫌悪感。そんな中、天使を犯す怪物の夢を見る。そんな彼は、天使と同じ顔の少女を初め、屋上で遠くを見ている少女、年下の幼馴染、いつも図書館にいる真面目な少女、おっとりして弓道部の少女、と出会い引かれていく。狂気と幻が支配する彼の生活の行く末は。という所だろうか、基本設定自体は非常に早い時期に分かるはずなので、売りは嗜虐的変態Hと電波展開、哲学的な苦悶ということになると思う。救いようのなさとアンバランスなヒロイン達の暖かさ、意外に前向きな素振りを見せる主人公とエンディング、非常に収まりの悪い作品。ただ、目的としている所はきちんと達成しているので良作ではある、詳しくはネタばれで。グロテスクさで言えば、臓物くらい普通に描かれているので一般的には回避の対象かも。Hは各4回程度で、弓矢で串刺しや死ぬまで殴打からフェラなど普通のものまで。基本は嗜虐。CGは各10枚ちょっとなので少ない。そういう趣味の人には実用レベルでしょう。音楽は普通、歌は狂気と優しさを表現した非常に合ったものだと思う。システム的には、グラフィック効果など飛ばせない部分が多いという欠点はあるが、他に問題はない。5時間程度と小粒ではあるが、攻略も問題ではなく、遊びやすい。鬱々とはしているが、悲劇というほどでもないので珍しい物を探している人は気軽に(?)どうぞ。(もし欝になりたいなら、「Figure ~奪われた放課後~」の方が断然お勧め。)(バックログ機能があるんですね、気付きませんでした。)(「あやせまい」「氏賀Y太」など聞いたことのある人も協力しているようです。)(以下、ネタばれ精神科での彼の妄想と少しの現実がこの物語なわけですが、姉の他は先生も妄想の産物達も現実の睦月も皆主人公に優しいんですよね。先生なんて女としての最後の武器まで使ってくれたのに・・・それでいてあのエンディング。しかも、どのヒロインで迎えても全く同じというのは焦燥感すら漂います。彼女達は主人公を現実の世界に送り出そうと頑張っているのに、現実に戻っても居場所もなければ、やることもない、と逃げてまた同じ事を繰り返す。ここまで行くと、それが目的だったと考えるのが妥当でしょう。こういう精神病、狂ってしまった主人公の話だと過去に何があったのかが主眼になることが多いですが、これは狂った状態をある意味自然な状態だと考えている節がある。18禁ならではの狂気の肯定が為される辺りは面白い。ただ、狂気を扱っているにしては皆良い人過ぎて緊張感がない。2人目以降は完全に先が見えている(カラスだとか猫だとかちょっとした驚きはありますが)ので先が知りたいという欲求が沸かない。見せ方が下手な印象を受けました。幻の中にも攻撃的な幻が入り、ヒロインの性格が一定しない。空ろな世界観で、会話が楽しいわけでもない。マジメという言葉が一番合いそう。表現方法として狂気を利用しているという感じが見て取れて、基本的な展開が普通の恋愛物と同じなので斬新さに欠けるかもしれません。良作なのは間違いないのですが、向き不向きがかなりありそうです。

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